公開日:2021/05/26 -> 更新日:2022/12/28

バスケットゴール導入の基礎知識 - ゴールの種類とパーツ

今回は、体育館やグラウンドへのバスケットゴールの導入についてお話ししようと思います。一口にバスケットゴールと言っても、その種類は様々で、用途や設置場所によって最適なゴールは変わってきます。

バスケットゴールの新規導入や、現在お使いのゴールの買い替え・修理をご検討されている先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事が、皆さんのゴール選びの一助となれば幸いです。

簡易式のバスケットゴール

手軽にバスケットボールを楽しみたいという時に活躍するのが、この簡易式のバスケットゴールです。一般的に「ポータブル式」や「据え置き式」と呼ばれる製品群も、このカテゴリに含まれることが多いですね。

最大の魅力は、なんと言っても設置工事が不要な点と、比較的安価である点です。ご家庭でのレクリエーションや、学校のちょっとしたスペース、小規模な施設などでよく使われています。

当社が代理店を務めているライフタイムプロダクツ社の製品などが有名で、価格帯は30,000円から100,000円程度とお手頃なものが多いです。ボードのみのタイプや、本体に水や砂を入れて重しにするタイプなど、様々なバリエーションがあります。

本格式のバスケットゴール

次に、競技や部活動で本格的にバスケットボールを行う際に使われるタイプのゴールについてご紹介します。主に学校やスポーツ施設、運動公園などに設置されているのを見かけることが多いのではないでしょうか。これらは安定感と耐久性に優れ、ボードのサイズも共通規格が採用されています。

屋外用移動式ゴール

三和体育製版2022カタログより

屋外用の移動式ゴールは、その名の通り、固定せずに移動させることが可能なタイプです。グラウンドを柔軟に利用できるため、学校でよく採用されています。

移動用のキャスターがあるタイプと、キャスターがなく据え置きで使うタイプ(定置式)があります。キャスター付きは多少価格が上がりますが、移動がスムーズにできるという利点があります。一方、キャスターなしのタイプは移動に人手が必要ですが、安価で設置した際の安定性に優れていると考えられます。

どちらのタイプを選ぶ場合でも、風や衝撃で倒れてしまわないよう、ウエイトを使ってしっかりと固定することが重要です。

三和体育製版2022カタログより

キャスターがない定置式タイプの例

三和体育2022カタログより S-9365定置式

屋外用固定式ゴール

ルイ高社2022カタログより

屋外用固定式ゴールは、地面に基礎を設け、そこにポールを埋め込んで設置するタイプです。一度設置すると移動はできませんが、安定性と耐久性は非常に高く、安心して長くお使いいただけます。部活動などで日常的に使用するグラウンドや、地域の方々が利用する公園などでの設置に適していると言えるでしょう。

体育館用ゴール

体育館用のバスケットゴールは、屋外用とはまた異なる種類があります。体育館の構造や使用目的に合わせて、様々なタイプが開発されています。

  • 壁面取り付け固定式: 壁に直接取り付けて動かせないタイプです。比較的省スペースで設置できます。
  • 壁面取り付け引き出し式: 壁に取り付けられていますが、使用する際に前方に引き出して使うタイプです。未使用時には収納できるため、体育館のスペースを有効活用できます。
  • 天井吊り下げ式: 天井から吊り下げ、使用時にゴールを降ろして使うタイプです。こちらも体育館の床面を広く使える点がメリットです。
  • プロ向け移動式: プロの試合などで使用されるような、非常に安定性の高い大型の移動式ゴールもあります。

体育館の広さや、どのような用途でゴールを使用するのかを考慮し、最適なゴールを選ぶことが大切です。

固定式
固定し、使用時に伸ばすもの
天井から吊り下げるもの
移動式

バスケットゴールを構成する部品

バスケットゴールは様々な部品から構成されていますが、その中でもゴールの特徴に大きく関わる主要な部品についてご紹介しましょう。これらの部品は単体でも販売されており、破損時の修理や、より高品質なものへの交換の際に役立ちます。

バスケットボード

三和体育製版2022カタログより

ゴールの顔とも言えるバスケットボードは、サイズと素材によって特性が大きく異なります。

サイズによる違い

ボードのサイズには、主に一般用とジュニア用があります。

  • 一般用: 幅180cm
  • ジュニア用: 幅120cm

素材による違い

ボードの素材は、主に耐久性と美観に影響を与えます。いくつか例を挙げてご説明します。

  • 木製(合板): 最も一般的な素材で、安価で軽く、加工もしやすいのが特徴です。しかし、耐久性は他の素材と比較すると最も低いと考えられます。
  • アルミサンドイッチボード: アルミ板で合板を挟み込んだ構造のボードです。やや高価で重いという点はありますが、耐久性に優れ、見た目も美しいのが特徴です。屋外仕様でも長く使え、公共施設などに最適と言えるでしょう。
  • アルミパンチングボード: 高価ですが、美観と耐久性に優れ、木製並みに軽量なのが魅力です。ただし、ボード取り付け用の金具の形状が限られるため、取り付け可能なゴールに制限がある場合があります。

その他にも、強化ガラス製、プラスチック製、FRP製など、素材だけでも非常に多くの種類があります。それぞれの特性を理解し、設置場所や使用頻度に応じた素材を選ぶことが重要です。

アルミサンドイッチボード(ルイ高社カタログより)
アルミパンチングボード(ルイ高社カタログより)

ゴールリング

ボールが通過するゴールリングも、単体で交換可能な部品です。

機構の違い

ゴールリングには、衝撃吸収の機構によっていくつかの種類があります。

通常のゴールリング -

稼働部位はありません。
ボードもしくはゴール本体の躯体に固定します。
もっともよく使われるスタンダードなタイプです。

ルイ高社カタログより

跳ね上げ式 -

跳ね上げ式ゴールリングは、上に折りたたむことで一時的に使用不可の状態にできます。
夜間の使用を禁止して近隣に配慮する、校庭解放時の危険防止などの目的に使えます。

セノー社カタログより

プレッシャーリリース機構 -

プレッシャーリリース機構は、バネ機構で力を逃がし、リングやボードの破損・ゴールの転倒を防ぎます。
ダンクシュートが可能なのはこのプレッシャーリリース機構のゴールリングです(ボードやゴール本体も対応している必要があります)。

適合性

ゴールリングは単体で交換できる部品ですが、ゴール本体やボードとの相性によっては適合しない組み合わせがあります。購入を検討される際は、必ず販売店までご相談いただくことをお勧めします。

木製のバスケットボードなら比較的柔軟にゴールリング用の加工が可能。
強化ガラス・アルミパンチングなどは取り付けられるリングの条件が厳しい。
使われているバスケットボードの種類に合わせてゴールリングを選定する必要があります。

リングネット

最後に、シュートが決まった時に「スパッ」と音が鳴るリングネットです。こちらも消耗品であり、交換が可能です。

素材によるリングネットの違い

リングネットの素材には、主に以下のようなものがあります。

  • ポリプロピレン: 一般的に耐候性が低く、屋外での使用にはあまり向かない場合があります。屋内ゴールでの使用に適していると言えるでしょう。
  • ビニロン: 一般的に吸湿性が高い傾向にあり、こちらも屋内向けと言えます。
  • ポリエステル: 比較的耐候性があり、屋外ゴールでの使用にも適している素材です。
  • スチール製: 化繊(ポリエステルなど)よりも耐久性があり、特に屋外ゴールで長く使いたい場合にその差が顕著に出ます。

ただし、リングネットの素材による性能の違いは、一般的な使用においてはそこまで重要視されないことも多いです。

仕様によるリングネットの違い

素材だけでなく、機能的な仕様による違いもあります。

アンチウィップ(跳ね上がり防止加工)タイプ: ネットの一部が硬く加工されており、シュート時の衝撃でネットが跳ね上がってリングに絡まるのを防ぎます。検定品のリングネットは、ほとんどこの仕様が採用されています。
チェーンタイプ: 金属製のチェーンをネットとして使用しているタイプです。ゴール時の音や感触が独特で、ストリートバスケなどで見かけることがあります。ただし、ボールが傷みやすいという点には注意が必要です。

試合でゴールを使用する可能性がある場合は、検定品であるかどうかも確認しておくと良いでしょう。

価格帯の目安

リングネットは、おおよそ1,000円から5,000円程度のものが主流です。素材や仕様、組みひもか撚り紐か、糸の太さや本数などによって価格に差が出ます。スチールチェーン素材のものは、10,000円を超える場合もあります。

リングネットのメンテナンスと交換時期

こちらのページでリングネットのおすすめを紹介しています

リングネットは消耗品です。定期的に点検し、破れや劣化が見られる場合は交換することをお勧めします。交換時期の目安としては、屋外使用であれば1年程度、屋内使用であれば2~3年程度が一般的ですが、使用頻度や環境によって前後します。

バスケットゴールの導入は、生徒さんの活動の場を広げ、運動習慣を育む大切な機会となります。この記事が、先生方が最適なゴールを選ぶための一助となれば幸いです。

Tags:

ページ作成:東洋体機株式会社

ページ作成者:東洋体機株式会社

運動施設・学校向け 体育器具・スポーツ用品専門会社
設立は1963年。
知られる機会があまり無い「運動器具の知識・選び方etc」を各種施設管理者向けに紹介していきます。

  • Vimeo
  • Youtube

安全対策用クッション敷設事例 詳細ページ