公開日:2021/05/26 -> 更新日:2023/06/20

コースロープの概要 - 目的・組み合わせ・取り付けについて

このページではプールの壁面から伸びているロープ「コースロープ」についての情報を集約していきます。
学校のプールでよく見かけるあのカラフルなロープについて、「なるほど」と感じていただけるような情報をお届けできればと思っています

コースロープの概要

コースロープとは

プールで泳いでいる時、隣のコースとの境目にある、あのひも状の仕切りがコースロープです。赤や黄色、青など、色とりどりのフロート(浮き)が連なっていて、ワイヤーに通され、両端はプールの壁にあるフックに固定されています。

固定に使われるクリップやタンバックルは金属製で、安全のためにカバーが付いていることもあります。

コースロープに関連する部品類

コースロープは、主に以下のパーツで構成されています。

【コースロープ】は、浮きとなる【フロート】を【ワイヤー】に通し、その両端をプールの壁面にある【フック】に接続するための【クリップ】や【ターンバックル】で固定します。安全性を高めるために、【ターンバックルカバー】を使用するのが一般的です。

フック
ターンバックルカバー
ターンバックルもしくはリール
ワイヤー(ケーブル)

コースロープの品質を左右すると言っても過言ではないのが、このフロートです。

最近では、写真のような細長いフロートも多く見られます。これは、使用するフロートの数を減らせるため、コストを抑えることができるというメリットがあります。

また、安全性に配慮した柔らかい素材のフロートも注目されています。万が一、接触してしまった際の怪我のリスクを低減できるため、特に学校のプールなどでは重要なポイントとなります。

通常の安価なフロート
柔らかいタイプのフロート

コースロープの目的

コースロープには、主に3つの目的があります。

  • エリア分け:競技や授業中、泳者が自分のコースを逸脱しないように区切ります。
  • 消波:泳ぐ際に発生する波を吸収し、隣のコースへの影響を軽減します。これにより、より公平なコンディションで泳ぐことができるのです。
  • 情報提供:一部のコースロープには、ゴールまでの距離を示す目印となるフロートが付いているものもあります。

長さはどのように決めるのか

学校のプールで一般的なのは、長辺が25mのプールと50mのプールでしょう。市販されているコースロープの多くも、これらの長さに合わせた既製サイズとなっています。

もちろん、プールのサイズに合わせて、コースロープの長さを自由に指定して購入することも可能です。その際には、フロートの種類や数、色なども合わせて調整することになります。

フロートはどのように決めるのか

既製の長さのコースロープには、通常、フロートがセットで付いていることが多いです。しかし、特注で長さを指定する場合には、使用目的に合わせてフロートを選ぶ必要があります。

フロートの種類によって、耐久性や波を打ち消す性能(消波性能)、そして価格が異なります。例えば、競技用であれば高い消波性能が求められますし、小さなお子さんが利用するプールであれば、安全性に優れた柔らかい素材のものが適しているかもしれません。

どのフロートを選べば良いか迷う場合は、メーカーや販売店にプールの使用目的を具体的に伝え、相談してみるのが確実です。

フロートの配色例

コースロープのメンテナンスはどうするのか

コースロープは、基本的に日常的な清掃はあまり必要ありません。しかし、汚れが目立つようになった場合は、薄めた次亜塩素酸ナトリウムで消毒したり、分解して中性洗剤などで洗うことも可能です。

また、もしフロートが破損してしまった場合でも、その部分だけを交換することができます。全てを買い替える必要がないのは、維持管理のコスト面で助かりますね。

コースロープの区切りかた

プールのコースロープは、一般的には長辺方向、つまり泳ぐ方向に平行に設置されます。しかし、授業や水泳教室など、特別な目的でプールを使用する際には、より自由な区切り方が必要になることもあります。

例えば、プールの一部だけ水深を浅くしたり、使用者の泳力に合わせてエリアを分けたりといった使い方です。

プールの長辺方向と平行に区切る

これは最も一般的なコースロープの使い方ですね。

プールの短辺方向と平行に区切る

水泳学習やスイミングクラブで行われるプール教室などでは利用者のスキルに合わせて短いコースを作るシーンがあります。

ほとんどのプールで可能ですが、コースロープの長さと固定方法には注意が必要です。

プールの幅方向、つまり短辺に平行にコースロープを設置する場合、既製品の長さのものはほとんどありません。そのため、プールの幅に合わせて長さを指定し、セミオーダーで調達する必要があるでしょう。

別注品という扱いになりますが、一般的には長さに応じた費用で購入できるはずです。

取り付け方法としては、短辺方向に適切なフックが壁面に設置されているかを確認する必要があります。もしフックがない場合は、プールの排水溝(側溝)を利用するという方法もあります。ただし、この方法は強度があまり高くないため、あくまで簡易的な設置方法となります。

長辺と短辺の組み合わせ

長辺方向と短辺方向の両方にコースロープを設置することで、プールの中にさらに小さな区画を作ることも可能です。これにより、例えば初心者向けの練習スペースと上級者向けの練習スペースを分けたり、特定の練習器具を使用するエリアを区切ったりすることができます。

コースロープは必ずしも側壁に固定する必要はないため、コースロープ同士をフックで繋げたり側壁とコースロープ間にコースロープを張ったりすることもできます。

自由に区切る

さまざまな長さのコースロープを用意しておくと、より柔軟性のあるプールの活用が可能になります。

レクリエーション目的でプールを区切るときにはキャラクターもののフロートを使うと子供たちの関心を引くこともできます。

コースロープの取り付けかた

フックの取り付け方

コースロープを取り付けるためには、まずプールの壁面に専用のフックが必要です。通常はコンクリートにアンカーを打ち込んで固定しますが、既存のフックがない場合は、専門業者に依頼して設置してもらうことになります。

通常のコースロープは強く張るために片方がフック、もう片方がタンパックルになっています。
タンパックルは、中央をくるくる回してフック間の距離を調整する器具で、人力で行うよりずっと強くロープを張ることができます。

一方で、フックはタンバックルと比較すると長さ調整がしづらい(ほぼできない)構造になっています。

そのため、コースロープを作る際には片方の端をフック、もう片方をタンバックルにします。

フックが無いときの取り付けかた

プールの側壁にコースロープをひっかけるフックが無いときは、溝やグレーチング(溝蓋)を利用する方法もあります。

強度に劣るため本格的な競技には向きませんが、本来の場所以外にコースロープが設置できるメリットがあります。

プールの側溝
専用の器具を取り付けてコースロープを接続

コースロープ取り付け時には、微調整が必要

新しいコースロープのワイヤーは、通常、プールの長さに合わせてやや長めに作られています。これは、設置する施設に合わせて長さを微調整するための余裕を持たせているためです。

取り付けの際の大まかな手順は以下の通りです。ワイヤーを切断するためのワイヤーカッターが必要になります。

  • 1 コースロープをプールサイドに広げ、両端のフックをそれぞれの壁面のフックに仮掛けします。
  • 2. ターンバックルを回してワイヤーの張りを調整します。張りすぎると壁面に負担がかかり、緩すぎるとコースロープが波の影響を受けやすくなりますので、適切な張り具合を見つけることが重要です。
  • 3. 余ったワイヤーをワイヤーカッターで切断します。
  • 4. 安全のために、ターンバックルカバーを取り付けます。

慣れた作業員であれば、1本のコースロープの取り付け作業は10~20分程度で完了するそうです。

調整手順

おすすめのコースロープ

プール施設のランクごとにおすすめのコースロープを紹介しています。

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ページ作成:東洋体機株式会社

ページ作成者:東洋体機株式会社

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