コースロープフロートの概要 - 種類・特徴・保管について
このページではプールのコースロープを構成する「フロート」についての情報を集約していきます。
フロートの役割

プールで使用されるコースロープは、ただコースを分けるだけでなく、いくつかの重要な役割を担っています。その中心となるのが、フロートと呼ばれる部品です。
フロートの主な役割は以下の3つです。
- コース分け: プールを複数のコースに区切り、選手が公平な条件で泳げるようにします。
- 色分け: フロートの色を使い分けることで、壁までの距離やターン地点を視覚的に知らせます。例えば、端から5m、10mの地点で色を変えることで、泳者が壁の接近を認識しやすくなります。
- 消波: これがフロートの最も重要な役割の一つです。隣のコースで発生した波を打ち消し、選手が波の影響を受けずに泳げるようにします。これにより、タイムを競う競技会などでは、すべての選手が公平な環境で泳ぐことが可能になります。
フロートは、ワイヤーにたくさん通すことで一本のコースロープになります。私たちがプールの授業や競技会で当たり前のように目にしているコースロープは、これらのフロートが組み合わさってできているのです。
フロートは、主にブロー成形とインジェクション成形という二つの方法で作られています。ブロー成形は、金型で樹脂を挟み、空気を吹き込んで成形する方法で、中が空洞のフロートを作るのに適しています。

フロートの種類と特徴
コースロープは、使用するフロートの種類によってその性能が大きく変わってきます。特に、隣のコースの波を打ち消す「回転消波」の性能は、フロート選びの重要なポイントになります。また、耐久性(割れにくさや耐候性)も、長く安全に使うためには見逃せない点です。
トップクラスのフロート
SA-110H-F ポリエチレン低発泡樹脂のフロート。

公認プール~スイミング・フィットネス向け。
高性能で消波性能が高く本格的な用途のコースロープに使われています。
- 回転消波◎
- 割れ ◎
- 対候性 ◎
このフロートは、回転消波性能、割れにくさ、耐候性のすべてにおいて高い評価を得ています。競技会や本格的な練習で最高のパフォーマンスを引き出したい場合に最適な選択肢と言えるでしょう。耐久性も非常に高いため、頻繁な交換の必要が少なく、長期的な視点で見てもコストパフォーマンスに優れています。
SA-110H-Fフロートの詳細はこちらをご覧ください。
ミドルクラス
このフロートは、回転消波性能、割れにくさ、耐候性のすべてにおいて高い評価を得ています。競技会や本格的な練習で最高のパフォーマンスを引き出したい場合に最適な選択肢と言えるでしょう。耐久性も非常に高いため、頻繁な交換の必要が少なく、長期的な視点で見てもコストパフォーマンスに優れています。

トップクラスと同じ素材ですが形状により性能も差があります。学校プール向けですが、スイミング・フィットネスクラブでも使われます
- 転消波〇
- 割れ ◎
- 対候性 ◎
おすすめのフロートはこちらのページで紹介しています
エントリークラス
SA-60L-F ポリエチレン樹脂のフロート

安価なため学校プールでよく使われるタイプです。
このタイプのフロートは対候性があまりなく、割れるとその部分が鋭くとがり、怪我をする恐れがあります。
- 回転消波△
- 割れ 〇
- 対候性 〇
おすすめのフロートはこちらのページで紹介しています
特殊なフロート
通常のフロート以外にも、特定の用途に特化した特殊なフロートも存在します。
- ソフトフロート: 柔らかい素材で作られており、万が一接触しても怪我のリスクが少ないため、小さなお子さんの利用が多いプールや、水泳初心者向けの指導に適しています。
- デザインフロート: カラフルなものや、ユニークな形状をしたフロートもあり、プールの景観を楽しく演出したり、視覚的な要素を取り入れた授業やイベントで活用できます。
これらの特殊なフロートは、授業やレクリエーションの幅を広げ、生徒たちの興味を引き出すのに役立つと考えます。

この柔らかいフロートは2018年にインテックス大阪で行われたスポーツ用品の展示会にてトーエイライトの方に直接教えてもらった製品です。(インテックス大阪は2019にG20のサミットが行われた場所で、ここでスポーツ用品の展示会が行われるのは2018が最後でした)

こちらは三立社の『やわらかレーンマーカー』。弾力性があり、手が当たっても怪我しづらい造りになっています。

あひる型の『ダックコースロープ』もあります。競技では使えないものの、幼稚園児が使うプールの彩りやエリア分けに向いたファンシーさがあります。
フロートの保管・メンテナンス
フロートは、コースロープを構成する重要な部品ですが、必要な時に必要なだけ購入することが多く、学校で予備を大量にストックしていることは少ないかもしれません。しかし、適切な保管とメンテナンスを行うことで、フロートの寿命を延ばし、安全性を保つことができます。
保管について
フロートの材質であるプラスチックは、直射日光に長時間さらされると劣化が進みやすくなります。特に夏場の強い日差しは、フロートの色あせやひび割れの原因となりますので、日陰で保管するように心がけましょう。プールの更衣室の奥や倉庫など、直射日光が当たらない涼しい場所が理想的です。
メンテナンスと安全性
フロートは、使用を重ねるうちに劣化し、ひびが入ったり、破損したりすることがあります。劣化したフロートは、プールの利用者、特に生徒たちの怪我につながる可能性があります。
定期的にコースロープ全体を点検し、破損しているフロートがないか確認することが重要です。もし破損が見つかった場合は、速やかに交換するようにしましょう。当Blogでは、できる限り安全性の高い製品の使用を推奨しています。
フロートは、プールの安全と快適な利用に欠かせない部品です。この記事が、先生方のフロート選びや日々の管理の一助となれば幸いです。
ページ作成:東洋体機株式会社
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