公開日:2021/05/26 -> 更新日:2022/12/13

学校・スポーツクラブ用オススメ水温計

学校やスポーツクラブのプールで、日々の水温管理はとても大切ですよね。特に、児童生徒さんや利用者さんの安全と健康を守る上で、適切な水温を保つことは欠かせません。

でも、一口に水温計と言っても、いろいろな種類があってどれを選べばいいのか迷ってしまう…そんな先生方もいらっしゃるのではないでしょうか? 今回は、主に学校やスポーツクラブのプールで使われる各種水温計の特徴と、代表的な製品をご紹介しながら、皆さんの水温計選びのお手伝いができればと思います。

水温計の種類と特徴

まずは、一般的な水温計の種類と、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

ガラス棒状温度計

ガラスの温度計は測定範囲の種類がいろいろとありますが、
プールの水温では0~50℃で、30㎝のものを用います。

ガラスですので破損しないようにプラスチック保護ケースにいれ、ヒモで下げて使用します。

ただし、引き上げてからすぐに読み取らないと気温の影響を受けてしまいます。

もっとも安価といえます。

メリット:安価  デメリット:破損の恐れあり。引き上げ後すぐに読取の必要があり

ガラス棒状温度計は、理科の実験などでもおなじみの、ガラス管の中に液体(アルコールや水銀)が入っているタイプの水温計です。プールの水温計としては、コーティングされたものがよく使われます。

メリット

  • 比較的安価で手軽に導入できる: 導入コストを抑えたい場合に適しています。
  • 構造がシンプルで故障しにくい: 電池なども不要なため、長く使えます。
  • 電源不要でどこでも使える: 持ち運びが簡単で、測定場所を選びません。

デメリット

  • 破損のリスクがある: ガラス製のため、落としたりぶつけたりすると割れてしまう可能性があります。特に、水銀が入っている場合は、破裂時に水銀が漏れ出す危険性も考慮する必要があります。
  • 測定に時間がかかる場合がある: 水温が安定するまでに少し時間がかかることがあります。
  • 目盛りが小さく読み取りにくいことも: 特に屋外の明るい場所や、視力が気になる方には読み取りにくい場合があるかもしれません。

代表的な製品例:

銅枠付き水温計(写真左)

銅製の枠にガラス棒状温度計が収納されています。

ガラスの温度計を使用し、感温部(下の太い部分)が水槽につかるようになっています。

そのため、水から引き上げると底に水がたまった状態になり、すぐには気温の影響を受けないようになっています。

いずれもヒモで下げて使用します。

ペッテンコーヘル水温計の方が、最少目盛が細かくなります。

メリット:取り扱いが簡単  デメリット:破損の恐れがある

メリット

  • 耐久性が高い: 銅枠がガラス管を保護するため、破損のリスクが低減されます。プールサイドでの使用にも安心感があります。
  • 吊り下げて測定できる: 枠にフックなどが付いているため、プールの縁などに吊り下げて測定しやすいです。
  • 比較的安価: 保護枠が付いていても、デジタル式に比べて手頃な価格で購入できます。

デメリット

  • ガラス棒状温度計と同様、読み取りに時間がかかる場合がある: 温度が安定するまで少し待つ必要があります。
  • 銅枠が劣化する可能性がある: 経年により銅枠が変色したり、緑青(ろくしょう)が発生したりすることがあります。

ペッテンコーヘル水温計(写真右)

ペッテンコーヘル水温計(写真右)

ガラス棒状温度計が筒状の容器に収められているタイプです。水深の深い場所の測定に適しています。

メリット

  • 深い場所の水温測定が可能: 筒状の容器が水圧からガラス管を保護し、深い水深でも安定した測定ができます。
  • 外気の影響を受けにくい: 容器が外気と遮断するため、測定中の温度変化が少なくなります。
  • 衝撃に強い: 堅牢な構造で、落下などの衝撃にも比較的強いです。

デメリット

  • 構造がやや複雑: 銅枠付きに比べると、構造が少し複雑になります。
  • 測定後の手入れが必要: 容器内に水が入るため、測定後にしっかりと乾燥させる必要があります。
  • 本体が重くなる傾向がある: 容器の分、やや重くなります。

代表的な製品例:

デジタル温度計

デジタル温度計は様々な商品がありますが、手元で測定値が見られるもので防水タイプがおすすめです。

厨房など向きに製作されているものが多いのですが、水温測定に流用できます。

写真左はセンサの感温部を水につけます。
全体の水没はできませんので表層の温度測定となります。

写真右は投げ込み式センサでコード10mが付きますので、
飛び込み用のプールの水温測定もすべての深度で計測が可能です。

メリット:反応が早い 数値のHOLDなどが可能 デメリット:比較的高価

メリット

  • 数値が読み取りやすい: デジタル表示なので、一目で正確な温度がわかります。
  • 測定がスピーディー: センサーがすぐに水温を感知し、安定した値を示します。
  • 多機能な製品が多い: 最高/最低温度表示、ホールド機能、バックライト機能など、便利な機能が搭載されているものもあります。
  • 製品によっては衝撃に強い: 頑丈な素材でできた製品が多く、落としても壊れにくいタイプもあります。

デメリット

  • 電池が必要: 電源として電池が必要なため、電池切れの心配があります。
  • 製品によって価格に幅がある: 高機能なものほど価格が高くなる傾向があります。
  • 防水性能を確認する必要がある: プールでの使用には、IPX規格などで防水性能が保証されているかを確認することが重要です。

代表的な製品例:

温度データロガー

温度データロガーは、設定した間隔で自動的に温度を記録し、データを保存できる機器です。長期的な水温変化の傾向を把握したい場合や、記録の手間を省きたい場合に非常に便利です。

メリット

  • 自動でデータ記録: 手動での記録作業が不要になり、人的ミスを減らせます。
  • 長期的なデータ管理: 数日から数ヶ月、またはそれ以上の期間にわたってデータを記録できます。
  • グラフ化や分析が可能: 記録したデータをPCに取り込み、グラフ表示や分析を行うことで、水温管理の改善に役立てられます。
  • 異常値の早期発見: 設定した範囲外の温度になった場合にアラートを発する機能を持つ製品もあります。

デメリット

  • 導入コストが高い: 他のタイプの水温計に比べて高価な製品が多いです。
  • 設定やデータ管理に手間がかかることがある: 初期のセットアップやデータ転送、分析にはある程度の知識や操作が必要になる場合があります。
  • 電源(電池)の管理が必要: 長期間使用する場合は、電池交換の頻度も考慮しなければなりません。

代表的な製品例:

常時プールに浮かべておき、水温データを蓄積します。

Bluetooth機能が付いたスマートフォンなどの携帯端末を使って無線でデータ通信し、
記録データを回収します。(通信距離は、見通しの良い直線で約30mです。)

複数台の接続設定が可能ですので、2台で気温と水温のデータ管理も可能です。
浮かべて使用しますので、プールの表面水温測定となります。

*プールエリアにスマートフォンの持ち込みを制限されている場合はご注意ください。

メリット:温度変化のグラフ化等が可能

デメリット:比較的高価、スマートフォンなどが必要・慣れが必要・水没させ壊す恐れがある

水温計を選ぶ際のポイント

それでは、皆さんの学校やスポーツクラブの環境に合った水温計を選ぶために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。

測定頻度と記録の必要性

  • 毎日手軽に測定したい: ガラス棒状温度計や銅枠付き水温計、シンプルなデジタル温度計が適しています。
  • 決まった時間に自動で記録したい、過去のデータと比較したい: 温度データロガーが非常に便利です。

設置場所と耐久性

  • プールサイドや水深が浅い場所: 銅枠付き水温計や、防水性能の高いデジタル温度計が扱いやすいでしょう。
  • 深い場所の水温を測りたい: ペッテンコーヘル水温計や、ケーブルの長いデジタル温度計のプローブが有効です。
  • 破損のリスクを避けたい: ガラス棒状温度計は避けて、銅枠付きやデジタル式の頑丈な製品を選ぶのが賢明です。

予算

  • 導入コストを抑えたい: ガラス棒状温度計や銅枠付き水温計がリーズナブルです。
  • 多少コストがかかっても、機能性や利便性を重視したい: デジタル温度計や温度データロガーが選択肢となります。

その他

  • 視認性: デジタル表示は一目で温度がわかるので、読み取りやすさを重視するならおすすめです。
  • メンテナンス: 電池交換の有無や、洗浄のしやすさも考慮すると良いでしょう。

まとめ:最適な水温計を見つけるために

プールの水温計と一口に言っても、それぞれの種類に特徴があり、用途や環境によって最適なものは異なります。

「うちは毎朝、担当の先生が手作業で測っているから、もっと手軽なものがいいな」「水温の推移を記録して、今後の運用に役立てたいんだけど…」といった、日々の業務における課題や、「予算はこれくらいで…」といった具体的なご要望があることと思います。

適切な水温管理は、プールを利用するすべての方々の安全と快適さに直結します。この情報が、皆さんのプールの水温管理の一助となれば幸いです。

※紹介している商品価格は当ページに記載時のものです。最新の状況は各販売サイトでご確認ください。
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ページ作成:東洋体機株式会社

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