コースロープフロートの安全性・危険性・怪我のリスクについて
プールは、子どもから大人まで、薄着で利用する施設であるため、一般的なスポーツ施設に比べると、どうしても怪我のリスクが高くなる傾向があります。特に、プールのコースを区切るために使用されている「フロート」、いわゆるコースロープフロートは、その劣化によって危険性が増すことがあります。このページでは、コースロープフロートの素材が持つ特性や、安全性を高めるためにはどのような点に注意すれば良いのかを見ていきましょう。
コースロープフロートの品質は価格に比例

コースロープは、その価格が1本2万円から20万円ほどと、非常に幅広く設定されています。予算に限りがある中で、価格を優先して選ばれることも少なくない製品だと、私どもも感じています。しかし、購入直後には特に問題がなくても、時間の経過や使用環境によって劣化が進むと、その素材によっては思わぬ危険を伴う劣化になることも考えられます。
安価なコースロープフロートには、いくつかの特徴とそれに伴う危険性があります。
フロート自体が割れやすい
安価な製品は、耐久性の低い素材が使われていることが多く、衝撃や摩擦によって割れやすい傾向があります。
フロートが割れると中に水が入って沈み、危険性が見えにくくなる
中身が空洞になっているタイプのフロートは、一度割れてしまうと、その割れ目から水が入り込んでしまい、浮力を失って沈んでしまうことがあります。水中に沈んでしまうと、割れた箇所が目視しづらくなり、危険性が認識しにくくなります。
割れた箇所が鋭くなり怪我をしやすい
フロートが割れた場合、その破断面が鋭利になることがあります。もし利用者が誤って触れてしまうと、皮膚を切ってしまうなど、怪我につながるリスクが高まります。
原材料費が抑えられているため、どうしても割れやすく、そして割れると水が入って沈み込み、視認しづらくなる上に、割れたフロートそれ自体も鋭くなるという悪循環が生じてしまうのです。
使用状況によっては、1年少々で劣化して割れてしまうケースも耳にします。コースロープを引きずる、地面に落とすといった取り扱い方や、太陽からの紫外線、プールの消毒に使われる塩素などが、経年劣化以外にも劣化を早める原因として多々考えられます。

コースロープ巻取器がフロート破損の原因になることも
意外に思われるかもしれませんが、コースロープ巻取器の取り扱い方も、フロートの割れにつながることがあります。
体育用具メーカーのエバニュー社のカタログにも記載があるように、巻取器への無理な巻き取り方や、保管方法によっては、フロートに過度な負担がかかり、破損の原因となることも考えられます。エバニュー社はプール用品も幅広く展開されており、コースロープやフロートのラインナップも豊富です。適切な使用方法や保管方法を心がけることで、フロートの寿命を延ばし、安全性を保つことができるでしょう。

安全性を求めるコースロープフロートの選び方
プール施設を運営する上で、利用者の安全確保は何よりも優先されます。そのため、コースロープフロートを選ぶ際には、安全性が高い製品を選ぶことが非常に重要です。具体的には、「割れにくく、もし割れた場合でも鋭く尖らないもの」を選ぶことがポイントになります。
安全性が高いとされるフロートには、見た目にも特徴があります。

写真でご覧いただいたような形状のフロートは、素材自体は安価なフロートと似ている、あるいは同じ場合もあります。しかし、同じ素材であっても、その成形方法によって触感や特性は大きく変わってきます。
このタイプのフロートの触感は、例えるなら「ビート板をぎゅっと圧縮して固めたようなもの」に近いイメージです。このようなフロートは、そもそも割れづらい構造になっています。そして、もし万が一割れてしまっても、中に水が入ることがないため、浮力が変わらず、水中に沈んで見えにくくなる心配がありません。さらに、割れた断面も鋭くなりにくいため、怪我のリスクを低減できると考えられます。
また、耐久性も高く、安価なものと比較して2~3倍長持ちすることもあると聞いています。長期的な視点で見れば、コストパフォーマンスも良い選択肢となるでしょう。
もちろん、デメリットも全くないわけではありません。素材の特性上、カビが生えやすかったり、藻が付きやすかったりするという点が挙げられます。また、利用者が指を引っ掛けやすい形状をしているのも、場合によってはデメリットと感じられるかもしれません。しかし、これらのデメリットは、定期的な清掃や注意喚起によってある程度カバーできる範囲だと考えられます。
安全性の高い素材のコースロープフロート
さらなる安全性を追求するのであれば、プール用具メーカーの三立が発売しているフロートも注目に値します。従来の製品から格段に安全性が向上していると、当社でも感じています。
三立のウェブサイトでも紹介されていますが、このフロートは一つひとつのフロートが柔軟性に優れており、万が一指が入ってしまってもすぐに抜ける構造になっています。また、身体がぶつかった際の衝撃を吸収してくれるため、抜群の安全性を誇ると言えるでしょう。カラーバリエーションも5色展開されており、入場者の多いクラブなどでも、視覚的な区別をつけやすく、おすすめです。

このフロートのデメリットとしては、「コースロープ巻取器が使えない(使うとフロートが傷む)」点が挙げられます。コースロープ巻取器が使えないとなると、特に長いコースロープの取り扱いが難しくなるため、この製品を選ぶ場合は、長さ50mではなく25mのものを購入されるケースが多いようです。コースロープは基本的に長さ50mか25mかの二択で販売されていますので、施設の運用状況に合わせて検討が必要になります。
コースロープフロートは安全性重視の選択を
コースロープは、製品の価格による違いがなかなか見えづらく、予算に限りがあるとどうしても安価なものを求めてしまいがちになるのは、私どもも理解できます。しかし、薄着で利用するプールは、利用者の方々にとって、ちょっとした不注意がケガにつながりやすい現場でもあります。
コースロープやフロートを調達される際には、価格だけでなく、ぜひその耐久性および安全性もご考慮ください。
ページ作成:東洋体機株式会社
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