気象庁によると日本では毎年20以上の台風が発生しており2017年は27回、2018年は29回にもなっています。
家屋や商業施設は台風に備えて対策をしていますが、スポーツ器具はおろそかになりがち。ですが巨大な器具が多く、風で飛ばされると周囲に大きな被害を及ぼします。
サッカーゴールでさえ飛ばされます。
加害者側になってしまう前に、念入りに台風対策をしておきましょう。
この記事では、台風対策すべきスポーツ器具を小さなものから順に解説していきます。
バスケットゴール(屋外)の台風対策
バスケットゴールは体育館やグラウンド、公園に設置されています。
そのうち屋外にあるものは、台風対策が必須。このように対処しましょう。
可能なら横向けに倒しておく
こちらの記事の通り、屋外用バスケットゴールには大きく分けて3種類あります。
- 個人向けのもの
- 施設向けのもの(移動式)
- 施設向けのもの(固定式)
個人宅にあるような簡易式のものでも、据え置き式や移動式の大型のものでも、バスケットゴールの台風対策の基本は横に倒しておくことです。バスケットのボードは風を受けやすく、固定式でも移動式でも曲がったり倒れたりします。
バスケットゴールを横に倒す方法
固定されていないゴールなら横に倒せます。
複数人でゆっくりと傾け、リングが痛まない角度に寝かせてください。倒した状態での安定性が悪ければ、ウエイトを増やしたり建物の陰に移動させたりと、プラスアルファの対策を行います。
バスケットゴール 対策しないと、こうなる
- 倒れて他の器具を壊す
- リングが曲がるor折れる
- ボードが割れる
こちらは実際に台風で倒れたバスケットゴール。後部に重り兼用のキャスター部分がありますが、それでも風向きや風速によって運が悪ければ倒れることもあります。
リングがめり込み、ボードが割れています
こちらの写真では、屋外にあったバスケットゴールが倒れかかって煙突を破壊しています。
固定式でも油断は禁物。
支柱をグラウンドに埋め込むタイプの固定式バスケットゴールは、倒れにくいものの大型台風では折れ曲がることもあります。簡単にできる台風対策は残念ながらありませんが、チェーンで固定する、リングを外すなど可能な限り対策しましょう。
手間はかかりますが、その手間を惜しむと何倍もの後始末費用がかかることもあります。
ハンドゴール・サッカーゴールの台風対策
屋外のゴールもよく飛ばされる器具の代表例です。
下記は一般的なサッカーゴールとハンドゴール。ハンドゴールはフットサル兼用です。
バスケットゴールのように風を受ける部分がなさそうですが、そうではありません。実際に飛ばされた事例が多々ありますので以下をご覧ください。
ネットを外し、前に倒しておくのが基本
ハンド・サッカーゴールは形状が似ていてどちらも前に倒れやすい構造になっています。
ですので、対策としてはあらかじめ前に倒しておくのが有効です。ネットは風の影響を受けやすいのでこれもゴールから外して倉庫などに仕舞いましょう。
屋外サッカーゴール 対策しないと、こうなる
- ゴールが倒れる
- 飛ばされる
下記は飛ばされて電柱にぶつかり、曲がったゴール。
この写真はサッカーの監督もされている、鉄工所さんのブログから。かなりの距離を飛ばされたそう。
防球ネット・防風ネットの台風対策
風をもろに受ける防風・防球ネット
防球ネットはボールが競技敷地外に出ないようにするもので、防風ネットはテニスコートなどの中に過度な風が入り込まないようにするものです。
どちらも、非常に風を受けやすい構造。
防風ネットは、風を止めるのが仕事なので、風貫穴があるものもあります。ですが、たとえ風邪抜き穴があってもネットそのものを外しておいたほうがいいでしょう。数十センチごとに結束バンド(ケーブルタイ)や紐でくくり付けられているので難しくはない作業です。
防風ネットの下部と左右を外し、掛け軸のように巻き上げて固定しておくだけでもだいぶ違います。
防風ネット 対策しないと、こうなる
- フェンスや支柱ごと倒壊する
- 金網が曲がる
スポーツネットの専門会社によると防風ネット前提で強度計算をしているのは全体の1%以下ではないか(予想)とのこと。
たとえ支柱がコンクリートでも安心はできません。台風の規模によってはその支柱ごと倒壊するからです。
対策の一例
和歌山県の体育施設のテニスコートで、変わった設置をしているところがあるようです。
(確認したのが昔のことなので場所は不明。サッカーゴールなどがあり、大きい施設でした)
10mくらいの間隔で柱を立て、上下にワイヤーを繋ぎ、カーテンのように防風ネットを広げられるようにしていました。その施設では、金網の内側に設置されていたようでしたが、後付けで設置する場合は金網の外側が現実的だと思われます。
移動式の防球ネット(防球フェンス)の台風対策
屋内に仕舞うか、倒した上で建物など丈夫な建造物に繋いでおく
移動式フェンスはかなり倒れやすい部類に入ります。
平面タイプのものが多く、ネットが張ってあり、支えの脚部はあまり幅を取れないという制約があるためです。
移動式フェンス 対策しないと、こうなる
- 倒れる
- 飛ばされる
移動式の防風ネットは軽く、しかも風を受けやすい形状です。
単に倒しておいただけでは風で飛んでいく恐れが大いにあります。
屋内にしまうか、チェーンなどで固定しましょう。
バッティングゲージ(野球用器具)の台風対策
野球のバッティング練習に使うケージです。
折りたたんで移動するか建物につなぐ
バッティングゲージにもネットが張ってあり、サッカーゴールや防球フェンス同様に風の影響を受けやすくなっています。折りたためる機種なら降り立たんで倉庫などにチェーンで固定しておくと飛ばされづらくなります。
バッティングゲージ 対策しないと、こうなる
- 飛ばされる
サッカーゴール同様、大型の製品なので万一の被害はかなり大きいです。
2017年にあった大型の台風で、関東の高校で野球用のアルミケージが飛ばされ観客席部分に当たったという事例もあります。その防球ネットの機種はKB4005。後ろにむかって半回転して観客席にぶつかったとのことです。
こんなに大きな器具でも、台風レベルの風なら飛ばされることがあるのは覚えておきましょう。
プール用品の台風対策
プール関連の用具、器具には軽いプール用品と、重い備品があります。
建物内(倉庫など)に仕舞う
台風が予想されるなら、プール用品は屋内にしまってもらうのが一番良い選択です。
ビート板、ロングビート板などは風を受ける面積が大きいのでどこかに飛んでいきがちです。
対策しないと、こうなる
- 飛ばされる
その他の製品の台風対策
プール監視台
金具とビスでコンクリートの床に直接固定していないなら、しまっておくと安全です。
コースロープ
巻取り器で複数のコースロープをまとめあげて重くすと飛ばされにくくなります。でもできればしまっておきましょう。
プールフロア
水が張ってあるならいっそのことプールに沈めておく。オフシーズンなら倉庫、入りきらなければ体育館に入れるなどが対策になります。
■プールサイドシート
プールサイドに張られているシートが風の力でめくられ、飛ばされることがあります。
剥がれかけのシートがあれば事前に修繕するなどしておきます。バイオクッションであれば重量があるため飛ばされることはほとんどありません。
参考:バイオクッション
グラウンドにある「小さな体育用品」
細かいものは倉庫へ入れる
常日頃から整理されていることも多いものだと思います。
念のために普段意識していない用具がないか、探してしまっておきましょう。
ラインカー、カラーコーン、鉄杭やトラロープ、ボールが学校ではよく使われます。これらは倉庫へ。
コナ・キタバル日本人学校のWEBサイトより
また、コートブラシ、レーキといったものにも注意が必要です。
倉庫の横やグラウンドの隅に立てかけてあることも多いようですが、台風が来る時には倉庫など頑丈な建物の中にいれましょう。
参考:コートブラシ・レーキ
対策しないと、こうなる
- 飛ばされて行方不明になる
- 破損する
スポーツ器具の台風対策まとめ
スポーツ器具の台風対策はめんどうなためおろそかになりがち。事前にルール作りをしましょう。
- バスケットゴール
- ハンドゴール
- サッカーゴール
- 防球ネット
- 防風ネット
- 防球フェンス
- バッティングゲージ
- プール用品
などが要対策の筆頭です。
台風による被害を受けた時、きちんと対策をしていないスポーツ器具があると後始末には事前に対処したときの何倍もの手間暇とコストがかかります。
普段からルールを作って周知し、「これ以上の風速なら、こう対処する」としておけば迷わずに行動を起こせます。
ここで取り上げた器具以外にもグラウンドにはいろいろなものがあります。細かいものは倉庫に収納、大型のものは風の影響を受けにくいよう出来る限り固定するようにしてください。
Last Update: 2021-05-27