ハードル走は体育の授業でもやったことがある、なじみ深い競技です。小中学校での授業からオリンピックの実施種目にもなっています。
そのハードルは、利用者の年代によって高さや幅が決まっています。
この記事はそんな「ハードル」について、体育器具の専門店がさまざまな情報を提供し、よりよい練習環境を作る手助けをするためのものです。
さまざまな種類がある『ハードル』
ハードルは用途別にいくつかの種類があります。
まず、一番メジャーなのがスポーツニュースなどのテレビで見る機会が多い、競技向けハードルです。
競技向けハードル
いわゆるハードル競技のためのハードルです。
この場合のハードルの高さは、日本陸連のルールブックにより、下記のように決められています。
おおまかに言えば、競技で走る距離と、競技者の性別によって異なるといえます。
陸上競技向けハードルの高さ基準
選手 | 距離 | ハードルの高さ |
一般女子 | 100m | 840mm |
400m | 762mm | |
中学女子 | 100m | 762mm |
一般男子 | 110m | 1067mm |
400m | 914mm | |
男子ジュニア | 110m | 991mm |
中学男子 | 110m | 914mm |
男子ユース | 400m | 840mm |
※「一般」とは、大人のこと。 【参考】日本陸連のルールブックの規定 http://www.jaaf.or.jp/athlete/rule/pdf/15.pdf
競技向けハードルはなかなか高価です。IAAFやJAAF(日本陸上競技連盟)の承認や検定を取っています。また、効率よく倒れる構造になっていたり、文字を入れたりもできます。
こちらは少々安価なスタンダードタイプ。それでもJAAF検定です。
また、これらハードルを運搬する専用のハードル運搬車なるものも存在します。
授業向けのハードル
競技向けではないものといえば、授業向けのハードルがあります。高さが変えられてその固定方法にもいくつかの種類があり、価格も安価です。
授業用のハードルは、学校の種類(小学校・中学校・高校~)によって幅と高さが決められています。
用途 | 幅 | 高さ |
高校・一般用 | 幅120cm | 5段式 76.2/83.8/91.4/99.1/106.7cm |
中学校 | 幅110cm | 5段式 60/68/76.2/83.8/91.4cm |
小学校用 | 幅100cm | 4段式 44/52/60/68cm |
高さが変更できる授業用ハードル
教育用のハードルの特徴は高さが変えられることです。
学校の場合、運動が得意な子もいれば苦手な子もいます。そのため、高さを調節してハードル走の難易度を変えられるようになっています。
また、学校では部活などでハードル競技の練習をすることもあります。
教育用のハードルは、そういった練習にも対応できます。高さの種類がミリ単位で細かく決められているのはそのためです。
小学校用で最も安価なクラスのもの
中学校用で高さ調整しやすいプル式
ハードルの高さ固定方法
教育用のハードルは、さまざまな場面に対応できるよう、高さが調節できるようになっています。
そして、その高さの固定方法はいろいろな方式があります。
固定部分の複雑さによってハードル価格が多少違ったり、使い勝手が変わったりします。どれがベストということはありませんので、基本的には好みで選ばれるようです。
この中ではピン調節式が比較的安価です。そのためコスト優先なら、ピン調節式が選ばれることが多いです。
トレーニングのためのハードル
競技用や教育用ハードルだけではありません。トレーニングにもハードルは使われます。
高さは10~40㎝程度とかなり低いものが多く、跳び越えるのが目的のハードルではありません。
トレーニング用ハードルは太ももを高く上げることの意識付けをしたり、フォームを改善したりするのに使われます。
また、倒れても起き上がる構造でトレーニングの手(足)を止めない工夫のものが多々あります。
特殊なハードル
ハードルにぶつかってしまうのが怖い、という子供のためのハードルもあります。
バーが柔らか
バーが開く
衝撃を和らげるためのカバー
手持ちのハードルのバー部分に付けて使います。
携帯用
合宿や遠征に持って行ってトレーニングができます
ハードルのメンテナンス
ハードルのバーは痛むことが多く、交換パーツとしても販売されています(製品によります)。
下記はトーエイライト社のハードルバー。バーをお求めの場合はもともとのハードルのメーカーと型番を確認のうえ、販売店までお問い合わせください。
ハードルの安全点検の時期と内容
「スポーツ器具の正しい使い方と安全点検の手引き」によると、点検箇所と内容はこのようになっています。
点検箇所 | 点検内容 | 定期点検時期 | 標準耐用年数 |
バー | 亀裂、変形、破損等がないか確認する | 6か月 | 1年 |
支柱、ベース | 溶接部の変形、破損、亀裂等が無いかを確認する | 3か月 | 3年 |
おもり | 破損、欠落、変形等が無いかを確認する | 6か月 | 3年 |
バー受け | 破損、欠落、ゆるみ等がないかと確認する | 6か月 | 2年 |
クラッチ | 破損、欠落、ゆるみ等がないかを確認する | 6か月 | 2年 |
ハードル練習の参考になるサイト
ハードルは授業でも行われるほど、基礎体力の向上に役立つ運動なので、関連の役所が出している情報も見つかります。
京都府教育委員会のサイトの中のページ▼
http://www.kyoto-be.ne.jp/n-center/onepoint/taiiku/souundo-1/haadoru.html
文部科学省が公開しているハードル動画▼
これらもハードル運動の参考にしてみてください。
まとめ
- ハードルは、競技用・教育用・トレーニング用がある
- 競技用ハードルは年齢と性別で高さが変わる
- 授業用ハードルは高さが変えられるものが主流
- トレーニング用ハードルは低く、トレーニングに使いやすい
競技用のハードルは規格が厳密に決まっていますが、
教育用のものは利用者に合わせて柔軟に使えるものが数多くあります。
今使われているものがベストか、一度考えてみてはいかがでしょうか。
Last Update: 2021-05-26