サッカーゴールは構造的に倒れやすい形をしています。そして転倒対策をしていないゴールもまだまだあります。そのうえぶら下がって遊んだりと危険な行為をする子供も多くいます。
その結果、倒れたゴールの下敷きになる事故はかなり多くの頻度で起こっています。ニュースになるレベルの事故に限っても、日本だけでも毎年のように発生しています。運よく大怪我にならなかったケースは、これよりもはるかに多いでしょう。
下記はNHKがおこなった、サッカーゴールの転倒事故実験の記事からの抜粋です。ゴールは想像するよりも簡単に倒れるもので、挟まれると頭蓋骨折の数倍の力がかかり、事故は1月に2回以上発生しています。
・ぶらさがって揺らすと、中学生1人がぶら下がっただけで倒れる
・頭が挟まれると、最悪で頭の骨が折れるとされる値の5倍近い約2tが瞬間的にかかる
・サッカーゴール転倒事故は、平成26年度には全国の小中学校と高校で29件に上っている
深刻な結果になることが多々あるサッカーゴールの転倒事故ですが、幸いなことに適切な対処をすればほぼ防ぐことができます。
この記事では、サッカーゴールを倒れにくくして事故を無くすゴールの転倒対策についてご案内します。
サッカーゴールの転倒対策
すぐできて効果が出る、取り組み安い順に3+1個の対策をご案内します。
まずは、ゴールにウエイトを置くというやり方です。
その1 ウエイトを置く
サッカーゴールはその構造上、重心が前に寄っています。後ろに重い物を置くことで、簡単には倒れなくなります。
使い方は簡単で、土台に載せるだけです。設置例は下記の写真をご覧ください。
このような「砂を入れて使うタイプのウエイト」は価格が安く、砂を出せば持ち運びしやすいメリットがあります。一方で、破れて砂が流れ出たりするデメリットもあります。
同じ製品で砂入り/砂無しのバリエーションがあるものを紹介します。よく使われている製品です。
砂入り↓買ってすぐ使えます
砂なし↓砂は自分で用意する必要がありますが、安価です。
砂を入れないタイプの、固形ウエイトもあります。袋がやぶれることも砂が漏れることがありません。
ルイ高製品は下記よりお買い求めください。
ウエイトは基本的にサッカーの大会では使ってはいけないもの、とされています。しかし下記製品のように、大会の基準を満たすものも、少数ながら存在します。
このウエイト「RT-F012970」は「土台にかぶせるタイプのウエイトが使えない」国体施設ガイドラインのP13に対応させるためにこのような形になっています。
ボールの跳ね返りに影響する様な大きな突起やフレームをまたぐ構造は適応外とし、
フレームから突起が出ないよう安全に十分に配慮した構造とすること。
ウエイトはいくつ必要?
風速やゴールの重さでも変わってきますので、下記を参考にしてください。
その2 杭で固定する
杭でゴールの土台を固定する方法です。練習や授業用ゴールであれば特に制限はありませんが、
大会に使うなら、大会主催者によって定められている方法をとって下さい。たとえば国体の場合はJFAによってサッカーゴールの固定方法が決められています。
杭には大まかに分けてシンプルなものと特殊なものがあります。
シンプルな杭の例
あらかじめ杭の形(曲がり具合)が決まっています。そのため、ゴールの土台の直径や形状によって使えないものがでてきます。
あらかじめゴールを調べたうえで、適合する杭を用意しましょう。いくつかサンプルを挙げますと、
内径50mmの断面が丸い土台用↓
内寸105mmの断面が四角い土台用↓
ハンドルを使用してスパイラル状の杭を打ち込む製品もあります
特殊な杭の例
ルイ高製スパイラル杭・固定金具
ゴール設置場所にあらかじめ杭を打ち込み、移動させたゴールをその杭に固定する、と言う方法もあります。毎回杭打ちをせずに済むのがメリットで、ゴール設置場所が限られることがデメリットです。
フレペグ
太悦鉄工社の特許製品で「フレペグ」という強力な保持力を持つ杭シリーズがあります。フレペグラインナップのうち「サッカーゴール用フレペグ」を使うと、たった2本でゴールの固定ができます。また、下地がアスファルトであってもサッカーゴールの固定をすることが可能です。
フレペグはテント用、犬小屋用など様々なラインナップがあります。
そのうちサッカーゴール用のものはこちら▼
また、当社WEBサイトでも取り使いしております。サッカーゴール用・遊具用フレペグ一覧▼
杭のメリットデメリット
杭で固定する場合、メリットも多いのですがデメリットもあります。
杭による固定のメリット
- 安価に対策できる
- 地盤が固ければかなりの強度で固定できる
杭による固定のデメリット
- 杭抜きと打ち直しの手間がかかる(かからないものもある)
- 強度は地盤の固さに左右される
- ゴールを揺らしつづけると杭が抜けやすくなる
ウエイトも杭も使わずに安全性を上げるには、そもそも倒れないゴールにするという手段もあります。プロが使うゴールもこのような種類のものです。
その3 倒れないゴールにする
グラウンドに埋設管を埋め込み、それにサッカーゴールを差し込んでネットを張るタイプのゴールなら倒れることが無くなります。費用は100万~200万ほどです。
ただ問題は、導入のハードルが高いことです。価格もそのひとつですが、動かせないのでグラウンドを多用途に使うことができません。
学校の運動場は専用の競技グラウンドとは違って、限られたスペースをさまざまな用途に使います。ゴールを移動させることも頻繁にあり、固定するゴールでは運動場の使い方が限られます。そのうえ、移動させるためには移動先にも埋設管が埋め込まれていることが必要です。
つまり「倒れないサッカーゴール」にする方法は、サッカーの専用施設でのみ取れる安全対策です。
その4 倒れても安全なゴールにする
空気を入れて膨らませるゴールがあります。
名前は「AirGoal(エアゴール)」。エアゴールジャパンが特許を持っている製品です。
浮き輪のように空気を入れて使うのに関わらず、耐久性があり、設置までたったの3分。
サイズも少年用・一般用と普通のゴールと変わりないラインナップを持つ製品です。
公式サイト https://www.airgoal.org/
この製品なら、重いサッカーゴールが倒れて生徒が挟まれる死亡事故が起こりえません。柔らかく、軽いためです。
ゴールバーや支柱にぶつかったボールの跳ね返りが普通のゴールとは異なります。その点はデメリットとも言えますが、事故が起こらない安全性や持ち運んで現地で設営できる携帯性のメリットが大きいのであれば価値ある選択肢になります。
まとめ
- サッカーゴールに代表されるスポーツ用ゴールは、重心が前にあり倒れやすい
- 子供がゴールで遊んでしまうだけではなく、強風でも倒れることがあるので対策は必須
- 現実的なのは杭を打つこととウエイトを乗せること
- 倒れないゴール、空気を入れて使えるゴールもある
管理している施設・学校にサッカーゴールがあるかどうか確認して、
ある場合にはすぐに適切な対応をしましょう。
ルイ高社が、全国の小学校約21000校にぶら下がり防止の啓蒙用ステッカーを送付しています。郵送物にまぎれていないか確認して、ゴールに貼っておいてください。
Last Update: 2021-05-26