日差しが強いプール授業や海遊びでは、日焼け止めを使い対策される方も多くいます。
ですが、プールなどの施設では日焼け止めの使用が禁止されていることもあります。
一律で禁止/許可するのではなく、施設側と利用者側どちらも同じ共通認識をもったうえで建設的な話し合いをしていただければと思い、話し合いのベースとなる情報を集めました。
紫外線の利用者への影響は?
そもそも、紫外線は防ぐべきものなのか。紫外線の影響について参考になる情報です。
気象庁WEBサイトの資料
紫外線が増えるとどうなるのだろう? 紫外線環境保険マニュアル
http://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf
花王株式会社のWEBサイトにある資料
紫外線による肌のダメージ
http://www.kao.com/jp/skincare/work_03.html
一昔前の紫外線状況とは変わってきていますのでなんらかの対策が必要なのは事実です。
「海やプールで健康的に日焼けするのが夏」というのは過去の話です。
日焼け止め禁止派/推進派の論拠
日焼け止めを禁止する理由(日焼け止め禁止派)
プールの水質に悪影響がある
愛知県学校薬剤師会のサイトでは、このようなPDFファイルが公開されていました。
特にサンオイル、日焼け止めの禁止については、
1.濾過器への負担が大きいこと
2.プール水は地下水や水道水が使用されますが、その排水については直接河川に流れ込む場合が
多く、処理場に入れその処理水を河川に放流しているわけではない。
このためサンオイル、日焼け止めの禁止は、水質保持のためにも必要と考えられます
プールの水を入れ替える頻度があがることによる、コストの増加
25mプールをいっぱいにするにはおよそ14万円ほどの水道代がかかります。
地域によって、またプールサイズによっても違いますが一般家庭より減免されていてもこの金額です。
水質が悪化し、汚れの程度が許容される基準値を上回ると交換頻度があがり、数十万円の費用増になる恐れもあります。
濾過機器などにダメージがある
NEWS24の記事から。
■フィルターの劣化を引き起こす可能性も
一方、プールのろ過装置メーカーであるミウラ化学装置プール事業部の東貴憲さんによると、細かい粒子が残り、フィルターの劣化につながる可能性があるという。
一方、上記で水質への悪影響の記事を紹介しましたが、悪影響が見られないとするものもあります。
日焼け止めの許可を希望する理由(日焼け止め推進派)
これも先程と同じNEWS24の同記事からです。
■実際に汚染はされるのか?
皮膚へのダメージを防ぐ日焼け止めで水質が汚染されるのか、関東中央病院・皮膚科特別顧問の日野治子医師に話を聞いた。
「サンスクリーン剤(日焼け止め)を使う前と使った後と、どのくらい汚れているか実験データがありまして、それでは汚染されていないと証明されています」
児童60人中、半数の30人が日焼け止めを塗り、約2か月間プール授業をして水質に変化があるのか皮膚科医らが調査した結果、殺菌力に影響を及ぼすペーハー(pH)は基準値内でほぼ変わらず、水の濁りの度合いも基準値を下回っていた。規模や頻度によって異なるとしながらも、問題になるほどの汚染はないという。
皮膚科医からの資料
日焼けが皮膚がんの原因となることは広く認知されています。
オゾン層の破壊により紫外線量が増え(6%→15%)今後も増加することが予想されます。
東京都医師会 岡村理栄子氏の学校保健についてのPDFファイル
http://yama-yaku.or.jp/gakuyaku/Q&A/272.pdf
気象庁による紫外線量統計
紫外線の昔と今との違い
http://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/diag_cie.html
日焼け止め自体のデメリット
「日焼け止めを使うことの本人へのデメリット」という視点もあります。
日焼け止めの使用にはメリットとデメリットがあって専門家によっても意見がわかれています。
水質への影響もですが、どのような日焼け止めかによっても影響は違い、使用者の体質によっても注意点が増えたりします。(ウォータープルーフを洗い流すと余計に肌が荒れるなど)
日焼け止めを使わない、日焼け対策
「日焼けを予防するには、日焼け止めを塗るしかない」というわけではありません。大掛かりなものから個人でできるものまでさまざまなものがあります。
学校や施設側での対策
プール全面を屋根で覆う
- メリット:もっとも効果的な紫外線対策
- デメリット:膨大なコスト
日陰を少しでも増やす
- メリット:現実的な対策コスト
- デメリット:直射日光すべて防げるわけではない
施設側と利用者の対策
プール利用の時間帯をずらす
授業やレッスンであれば紫外線のもっとも強い時間を避けるなどの時間調整です。
利用者が選択できるなら、プール利用を午前中にするなどです。
- メリット:ハード(施設や設備)の対策が不要
- デメリット:スケジュール調整が難しいこともある
利用者側での対策
着用するもので対策する
ラッシュガード、サングラス、日傘、帽子などです。
- メリット:個人で出来る対策である。
- デメリット:施設の許可が必要。
摂取するもので対策する
飲む日焼け止めヘリオケア、ローズヒップティーなどです。
特にローズヒップティーはドライタイプをお湯でふやかしてそのまま飲むなど摂取しやすく、安価です。
- メリット:施設の対応関係なく個人で対策できる。
- デメリット:コスト(ローズヒップティーは安価)
日焼け止め対策の備品、グッズ
上記で掲載したものを施設が導入を検討するなら、施設を作った事業者やに相談されると良いかと思います。個人が使用するものなら、最近はインターネットで大抵のものが手に入ります。
下記は、ネットで手に入る製品を一つの参考までにご紹介しています。ご利用目的などによって最適な製品は変わりますので、ご自身でご判断ください。
プールサイドテント
日陰を増やす目的のものです。テントはあっても破れている場合は用をなしませんので張替えが必要です。
張替えを含めた金額は、素材やサイズその他条件によって異なりますが、5~20万円前後が目安です。電動式であればこの数倍はかかります。
日焼け止め ウォータープルーフ
日焼け止めを使ってもいいか、施設側と調整する必要があります。
ラッシュガード
着る日焼け止めとも言われます。
サングラス
紫外線が目から入っても、日焼けにつながります。UVカットサングラスは目を守るだけではなく身体の日焼けにも効果があります。
飲む日焼け止め
ヘリオケア、という製品があります。
ローズヒップティ
プールや海から上がったあとに飲んでも、効果があります。
まとめ
日焼け止めを許可するかどうかは、施設により判断が異なります。
その判断の元になる根拠もまだまだ確定しておらず決定打といえるものもまだ出ていません。
また、施設によって判断が異なる理由のひとつとして、その施設独自の状況があります。
たとえば施設の緯度経度、周辺環境、日射の強さ、利用者層、設備環境、利用時間、管理者の作業負担、費用負担、etcです。
施設の運用と、個人の希望とが対立しあっていても建設的な議論にはなりませんので、日焼け止めを塗るか、禁止するかの2択だけではないので、広い視点から、多くの情報を元に話し合って判断いただければと思います。
Last Update: 2021-05-27